朝どうしても起きられない…その背景には必ず理由がある
「何度起こしても起きてくれない」「毎朝親子でバトルになる」──。
多くの親御さんが抱えている“朝起きられない問題”。しかし、これは子どもの怠け癖ではありません。
起きられない背景には、睡眠・生活リズム・心理などさまざまな要素が複雑に関係しています。
だからこそ、まずは「なぜ朝がつらいのか?」を正しく理解することが改善の第一歩になります。
子どもが朝起きられない主な理由とは?
子どもが起きられない理由は「寝るのが遅いから」だけではありません。
実際には、次のような複数の要因が絡み合っています。
- ① 成長期のホルモンバランスの変化:特に小学生の高学年〜中学生は、睡眠ホルモンの分泌が遅くなる傾向があります。
- ② 睡眠時間不足:小学生でも8〜10時間が必要。22時以降就寝が続くと確実に不足します。
- ③ 休日の生活リズムの乱れ:土日に寝坊すると体内時計が2〜3日ずれます。
- ④ ストレス・不安:学校、友達関係、勉強へのプレッシャーが「朝のだるさ」として現れます。
- ⑤ 睡眠環境の問題:光、室温、騒音が眠りの質を下げ、朝の目覚めを悪くします。
つまり、子どもが朝起きられないのは“性格の問題”ではなく、
生活習慣のズレ・睡眠の質・心理状態が積み重なった結果なのです。
具体的解決策1:生活リズムを「強制的に整える」
最も効果があるのが就寝・起床時間を固定することです。
体内時計が整うと、子どもは自然に朝スッと起きられるようになります。
① 休日の起床時間を「平日+30分以内」に統一する
この「+30分ルール」は睡眠専門医も推奨する方法です。
土日に10時や11時まで寝てしまうと、月曜〜火曜の朝は必ず起きられなくなります。
生活リズムを安定させるためには、休日も平日とほぼ同じ時間に起きることが重要です。
② 就寝1時間前の“ブルーライト断ち”
スマホやゲームは脳を興奮状態にし、メラトニンの分泌を妨げます。
寝る前の1時間は「光を抑えるモード」に切り替えましょう。
- ・スマホは親が預かる
- ・部屋の照明を少し暗くする
- ・テレビを消して静かな環境にする
この小さな工夫が、翌朝の起きやすさを大きく変えます。
具体的解決策2:眠りの質を高める「睡眠環境」づくり
「夜寝つけない=朝起きられない」という図式は明確です。
睡眠の質は、寝室環境で大きく左右されます。
① 寝室の温度・湿度を快適に保つ
最適な環境は18〜22℃/湿度40〜60%。
眠れない原因の多くは“暑い”“寒い”“乾燥しすぎ”など、物理的な不快感です。
② 眠りを妨げる光をシャットアウト
光は睡眠に大きな影響を与えます。
可能なら遮光カーテンを使用し、朝までしっかり暗い環境を保ちましょう。
③ 寝る前の入眠ルーティンを作る
ルーティンは脳が「そろそろ寝る時間だ」と認識するスイッチです。
- ・10分だけ読書
- ・親子で今日の振り返りを1分話す
- ・軽いストレッチ
- ・静かな音楽(自然音やピアノ)
ルーティンを固定することで、入眠がスムーズになり、朝の目覚めも安定します。
具体的解決策3:食生活が“起床のしやすさ”を左右する
「睡眠 × 食事」は密接に関わっています。
寝る前の食事や栄養バランスによって、眠りの深さが変わり、翌朝のスッキリ感も変化します。
① 夕食は就寝3時間前に済ませる
消化しながら寝ると深い睡眠に入れません。
特に脂っこいメニューは避けましょう。
② カフェイン・砂糖を控える
チョコ・コーラ・ココア・アイスなどは意外と刺激が強く、寝つきを悪くします。
夕方以降はできるだけ控えることがポイント。
③ 朝食は体内時計のリセットスイッチ
朝ごはんには「体を覚醒させる」役割があります。
特におすすめは以下の3つ。
- ・卵料理(覚醒を促すタンパク質)
- ・納豆やヨーグルト(腸を動かし体を起こす)
- ・バナナ(脳のエネルギー源)
朝食は“朝のスイッチ”として、起床習慣を安定させます。
具体的解決策4:日中の活動量を増やす
日中しっかり体を動かすことで、夜に自然と眠気が訪れます。
「疲れてぐっすり眠る」サイクルを作ることが重要です。
おすすめの運動習慣
- ・30分の外遊び(最も効果的)
- ・縄跳び・鬼ごっこなどの全身運動
- ・スイミング・体操教室
- ・雨の日はラジオ体操やヨガ
逆に、寝る直前の運動は逆効果。
夕方〜17時くらいの活動が最適です。
朝起きられない子への“正しい声かけ”とは?
朝の声かけ次第で、子どもの心理的な目覚めは大きく違ってきます。
次の声かけを意識してみてください。
- ・「早くして!」 → 「今日は〇〇がある日だよ」
- ・「何回言わせるの!」 → 「一緒に準備しよう」
- ・「布団から出て!」 → 「カーテン開けるよ、気持ちいい光だよ」
“起きる理由”を一緒に作ってあげる声かけが効果的です。
心理的な要因が強い場合は?
もし「学校に行きたくない」「お腹が痛い」などが続く場合、
朝の起きられなさは「心のSOS」の可能性があります。
- ・いじめ・友だち関係のストレス
- ・先生との相性
- ・勉強の苦手意識
- ・過度なプレッシャー
この場合は、無理に起こすよりも、親子で時間をとって話を聞いてあげることが必要です。
まとめ:習慣・環境・心理の3つを整えれば朝は変わる
子どもが朝起きられないのは怠けではなく、
生活リズムの乱れ・睡眠環境・食生活・心理的負担などが重なっているからです。
次の5つを整えることで、朝は必ず変わります。
- ① 就寝・起床のリズムをそろえる
- ② 良質な睡眠環境を作る
- ③ 食生活を見直す
- ④ 日中の運動量を増やす
- ⑤ 朝の声かけを工夫する
無理に起こすより、習慣と環境を整えることが、
子どもが自然と“スッと起きられる体”を作ります。
今日できることから、親子で少しずつ取り組んでみましょう。

