「褒めているのに伸びない…」それ、褒め方が原因かも?
「ちゃんと褒めているのに、子どもがやる気を出さない」
「褒めたのに、逆に拗ねてしまった」
そんな経験はありませんか?
実は、褒めること自体が悪いのではなく、褒め方の“方向”がずれているケースが多いのです。
心理学の研究では、褒め方によっては子どものモチベーションを下げてしまうこともあると分かっています。
なぜ「褒め方」が子どものやる気に影響するのか
人のやる気は、心理学で「内発的動機づけ」と呼ばれる“自分からやりたい”という感情に支えられています。
ところが、「テストで100点だったね!」「すごい!」と成果ばかり褒めてしまうと、
「褒められるためにやる」という外発的動機づけに偏ってしまうのです。
これが続くと、褒められないとやらない子になってしまう危険があります。
心理学が教える「NGな褒め方」3つ
① 結果だけを褒める
「100点すごい!」「勝ててよかったね!」と結果を強調すると、
子どもは「結果が悪かったら怒られる」とプレッシャーを感じてしまいます。
結果よりも「努力の過程」「工夫したポイント」に注目することが大切です。
例:「最後まであきらめなかったね」「丁寧に書けたね」など。
② 比較して褒める
「〇〇ちゃんより上手!」「兄より頑張ったね!」と他人と比べて褒めると、
子どもは「比べられることで愛される」と感じてしまいます。
このような褒め方は一時的な効果しかなく、自己肯定感の低下につながることもあります。
③ 「すごいね!」だけで終わる
「すごいね」は万能に見えて、実は内容が伝わりません。
子どもは「何がすごかったの?」と心の中でモヤモヤします。
行動や思考を具体的に言語化して伝えることで、
「自分はこういうところを認められた」と実感できるのです。
子どもが伸びる「正しい褒め方」5つのポイント
① プロセス(過程)を褒める
結果よりも「どう頑張ったか」を言葉にしましょう。
「時間を守って勉強できたね」「前より集中できたね」など、
日常の努力を丁寧に認めることで、子どものやる気が安定します。
② 成長を言葉にして伝える
「昨日よりきれいに書けた」「少しずつ計算が速くなってきたね」など、
“昨日の自分との比較”を伝えると、子どもは「成長している自分」を実感します。
この“自己効力感”が、継続する力の源になります。
③ 努力のきっかけを一緒に振り返る
「どうやって頑張れたの?」「何を工夫したの?」と聞いてみましょう。
子どもが自分で気づいた努力を言葉にできると、内発的動機が育ちます。
これは、心理学でいうメタ認知(自分の思考を客観的に見る力)を高める効果もあります。
④ 感情を共有しながら褒める
「うれしいね」「ママも嬉しいよ」など、感情を一緒に表現しましょう。
共感の言葉は、子どもに「親が自分の気持ちをわかってくれている」と感じさせます。
その安心感が、さらなるチャレンジ意欲につながります。
⑤ 「できなかったとき」こそ褒める
ミスや失敗の中にも、必ず褒めるポイントはあります。
「最後まであきらめなかったね」「わからないのに質問できたね」など、
結果に関係なく努力を認めることで、「失敗=成長のチャンス」という前向きな思考が育ちます。
体験談:点数ではなく努力を褒めたら、子どもが変わった
筆者の家庭でも、以前はテストの点数で一喜一憂していました。
「どうして間違えたの?」「もう少し頑張れたでしょ?」と結果ばかり見てしまい、
子どもはどんどん自信をなくしていきました。
しかし、ある日「前より計算が速くなったね」と声をかけたところ、
「そうなの!練習したんだよ」と嬉しそうに話してくれました。
その日以来、「頑張った自分」を見てもらえたことで、自然と勉強に前向きになっていったのです。
心理学が証明する「褒め方の効果」
米スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック博士は、
「知能を褒められた子よりも、努力を褒められた子のほうが挑戦意欲が高い」という研究結果を発表しました。
努力を褒めることは、失敗を恐れない“成長マインドセット”を育てる効果があります。
つまり、「頑張ったね」という一言は、子どもの未来を変える力を持っているのです。
まとめ:褒め方は「子どもを信じる力」
子どもを褒める目的は、言葉で喜ばせることではなく、「自分にはできる」という自信を育てること。
完璧な褒め方を探すより、子どもを信じて“気づいたことを伝える”ことから始めてみましょう。
あなたの一言が、子どもの中の「やる気の芽」を静かに育てていきます。
